PM理論は、20世紀後半に日本の経営学の文脈で生まれたリーダーシップ理論です。PMとは、Performance-Maintenanceの略で、この理論では成功するリーダーシップには、2種類のリーダーシップ行動のバランスが必要であるとされています。
タスク指向の行動で、リーダーは明確な指示を与え、具体的な目標を設定し、その目標を効率的に達成することに焦点を当てます。
リーダーは、チームメンバーの福祉と満足に重点を置く人間重視の行動をとります。リーダーはチーム内で強い人間関係を築き、ポジティブな職場環境を醸成し、チームメンバーの個々のニーズや懸念に対応します。
発案者である三隅氏によると、効果的なリーダーシップを発揮するためには、どちらの行動も重要であり、最も成功するリーダーは、必要に応じて両方の行動をバランスよく発揮できる人だと説明しています。
例えば、地域の演劇クラブで公演を準備するシナリオを想像してみましょう。
演出家(リーダー)は演者全員に自分の役割を理解させた上で、定期的にリハーサルを行い、最終公演に向けて準備が整うよう進行に目を光らせます。
同時に演出家は俳優の感情的なニーズにも気を配ります。チームスピリットを高めるために社交イベントを企画したり、諍いが発生した際に機転を利かせて処理したり、神経質な役者を精神的にサポートしたりすることもあります。
ビジネスシーンでは、プロジェクトマネージャー(リーダー)はプロジェクトの目標を明確に定義し、期限を設定し、進捗を監視することで、パフォーマンス志向の行動をとることができます。一方、チームの対立を解決しメンバーの努力を認め、評価した上で協力的で包括的な職場環境を作ることで、維持志向の行動を示すことができます。
PM理論では、リーダーが状況やチームのニーズに応じて、タスク指向とピープル指向の間で焦点を変えることができることの重要性を強調しています。