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C言語とC++の違いを比較!オブジェクト指向と安全性の向上

リンドくん

リンドくん

たなべ先生、C言語を勉強していて気になったんですが、C++とC言語ってどう違うんですか?名前が似てるので関係があるんですよね?

たなべ

たなべ

いい質問だね!確かにC++はC言語から発展した言語なんだ。
でも、C++はC言語にオブジェクト指向や安全性の機能を大幅に追加した、より現代的なプログラミング言語なんだよ。

プログラミングを学び始めると、「C言語」と「C++」という似た名前の言語を目にすることがあります。
これらの言語は名前が似ているだけでなく、実際に深い関係があります。

C++は1980年代初頭にBjarne Stroustrup(ビャーネ・ストロヴストルップ)氏によって開発された言語で、C言語を基盤としながら、オブジェクト指向プログラミングや型安全性などの機能を大幅に強化した言語です。

この記事では、C言語とC++の違いについて、プログラミング初心者の方でも理解できるよう、具体的なコード例を交えながら詳しく解説していきます。
両言語の特徴を理解することで、自分の学習目標に最適な言語選択ができるようになるでしょう。

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C言語とC++の基本的な関係性

リンドくん

リンドくん

C++はC言語から生まれたって言いますが、具体的にはどんな関係なんですか?

たなべ

たなべ

簡単に言うと、C++はC言語のスーパーセットなんだ。
つまり、C言語で書けるコードの多くはC++でもそのまま動くんだよ。でも、C++にはC言語にない強力な機能がたくさん追加されているんだ。

C++がC言語を拡張した理由

C言語は1970年代に開発された、非常に効率的で強力なプログラミング言語です。
しかし、大規模なソフトウェア開発が主流になるにつれて、以下のような課題が浮上しました。

  • コードの再利用性の不足 - 同じような処理を何度も書く必要があった
  • データの管理の複雑さ - 関連するデータと処理を別々に管理する必要があった
  • 型安全性の不足 - 間違った型の操作でもコンパイル時に検出されない場合があった

これらの課題を解決するために、C++は以下の機能を追加しました。

C++で追加された主要機能

オブジェクト指向プログラミング

データと処理をまとめて管理する「クラス」という概念を導入しました。これにより、コードの整理と再利用性が大幅に向上しました。

より強力な型システム

C言語よりも厳密な型チェックが行われ、プログラムの安全性が向上しました。

関数のオーバーロード

同じ名前の関数でも、引数の型や数が異なれば別の関数として定義できるようになりました。

テンプレート機能

汎用的なコードを書くことで、同じアルゴリズムを異なる型に対して適用できるようになりました。

このように、C++はC言語の強さを保持しながら、現代的な開発に必要な機能を追加した言語と言えるでしょう。

オブジェクト指向プログラミングの違い

リンドくん

リンドくん

オブジェクト指向って何ですか?C言語では使えないんですか?

たなべ

たなべ

オブジェクト指向はデータと処理をまとめて管理する考え方なんだ。
C言語でも似たようなことはできるけど、C++なら言語レベルで強力にサポートされているから、とても書きやすいんだよ。

C言語での構造体とC++のクラス

まず、C言語での基本的なデータ管理方法を見てみましょう。

// C言語での構造体
struct Student 
{
    char name[50];
    int age;
    int grade;
};

// 構造体を操作する関数(別途定義が必要)
void printStudent(struct Student s) 
{
    printf("名前: %s, 年齢: %d, 成績: %d\n", s.name, s.age, s.grade);
}

void setGrade(struct Student* s, int newGrade) 
{
    s->grade = newGrade;
}

一方、C++では以下のように書けます。

// C++でのクラス
class Student 
{
private:
    string name;
    int age;
    int grade;

public:
    // コンストラクタ
    Student(string n, int a, int g) : name(n), age(a), grade(g) {}
    
    // メンバ関数
    void print() 
    {
        cout << "名前: " << name << ", 年齢: " << age << ", 成績: " << grade << endl;
    }
    
    void setGrade(int newGrade) 
    {
        grade = newGrade;
    }
    
    int getGrade() const 
    {
        return grade;
    }
};

オブジェクト指向の利点

データの隠蔽(カプセル化)

C++のクラスでは、privateキーワードを使ってデータを隠蔽できます。これにより、外部からの不正なアクセスを防ぎ、プログラムの安全性が向上します。

コードの整理

関連するデータと処理が一箇所にまとまるため、コードの理解と保守が容易になります。

再利用性の向上

一度作成したクラスは、他のプログラムでも簡単に再利用できます。

C言語でも工夫次第で似たような構造は作れますが、C++ではこれらの機能が言語レベルでサポートされているため、より安全で効率的なプログラミングが可能です。

型安全性とエラーハンドリングの向上

C言語での型管理の課題

C言語では、以下のようなコードが書けてしまいます。

// C言語での危険なコード例
void* ptr = malloc(sizeof(int));
int* intPtr = (int*)ptr;  // 明示的キャスト
char* charPtr = (char*)ptr;  // 同じポインタを異なる型として扱える

// 配列の境界を超えたアクセス
int arr[5];
arr[10] = 100;  // コンパイルエラーにならない(実行時エラーの可能性)

これらのコードはコンパイル時にエラーにならないため、実行時に予期しない動作を引き起こす可能性があります。

C++での型安全性の向上

C++では、より厳密な型チェックが行われます。

// C++での型安全な書き方
class SafeArray 
{
private:
    vector<int> data;

public:
    SafeArray(int size) : data(size) {}
    
    int& at(int index) 
    {
        if (index < 0 || index >= data.size()) 
        {
            throw out_of_range("配列の範囲外アクセス");
        }
        return data[index];
    }
    
    int size() const 
    {
        return data.size();
    }
};

// 使用例
SafeArray arr(5);
try 
{
    arr.at(10) = 100;  // 例外が発生
} catch (const out_of_range& e) 
{
    cout << "エラー: " << e.what() << endl;
}

C++の型安全性の特徴

参照型の導入

C++では参照型が導入され、ポインタよりも安全にデータを扱えるようになりました。

// 参照型の使用
void increment(int& value) 
{
    value++;  // ポインタの場合のような複雑な操作は不要
}

int main() 
{
    int x = 5;
    increment(x);  // xの値が直接変更される
    cout << x << endl;  // 6が出力される
    return 0;
}

例外処理機能

C++ではtry-catch文を使った例外処理により、エラーをより適切に処理できます。

これらの機能により、C++はC言語よりも安全で保守性の高いコードを書けるようになっています。

メモリ管理と安全性の比較

リンドくん

リンドくん

メモリ管理ってよく聞くんですが、C言語とC++で何が違うんですか?

たなべ

たなべ

これは重要なポイントだね。
C言語では手動でメモリ管理をする必要があるけど、C++には自動的にメモリを管理してくれる仕組みがたくさん用意されているんだ。

C言語でのメモリ管理

C言語では、動的メモリ管理を手動で行う必要があります。

// C言語でのメモリ管理
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

int main() 
{
    // メモリの確保
    int* array = (int*)malloc(5 * sizeof(int));
    
    if (array == NULL) 
    {
        printf("メモリ確保に失敗しました\n");
        return 1;
    }
    
    // 配列の使用
    for (int i = 0; i < 5; i++) 
    {
        array[i] = i * 2;
    }
    
    // メモリの解放(忘れやすい!)
    free(array);
    
    return 0;
}

この方法の問題点は以下の通りです。

  • メモリリークの危険性 - free()を忘れるとメモリが解放されない
  • ダングリングポインタ - 解放後のメモリにアクセスしてしまう危険性
  • 二重解放 - 同じメモリを複数回解放してしまうエラー

C++での改善されたメモリ管理

C++では、より安全なメモリ管理手法が提供されています。

// C++でのスマートポインタ使用例
#include <iostream>
#include <memory>
#include <vector>

int main() 
{
    // 自動的にメモリ管理されるvector
    std::vector<int> array(5);
    
    for (int i = 0; i < 5; i++) 
    {
        array[i] = i * 2;
    }
    
    // スマートポインタの使用
    std::unique_ptr<int[]> smartArray = std::make_unique<int[]>(5);
    
    for (int i = 0; i < 5; i++) 
    {
        smartArray[i] = i * 3;
    }
    
    // メモリは自動的に解放される
    return 0;
}

C++のメモリ管理の利点

STLコンテナの活用

vectorstringmapなどのSTL(Standard Template Library)コンテナを使うことで、メモリ管理を意識せずに済みます。

スマートポインタ

  • unique_ptr - 単一所有権のポインタ
  • shared_ptr - 共有所有権のポインタ
  • weak_ptr - 循環参照を避けるためのポインタ

RAII(Resource Acquisition Is Initialization)

リソースの取得と初期化を同時に行い、オブジェクトの寿命と連動してリソースを自動管理する仕組みです。

これらの機能により、C++ではメモリリークや不正アクセスのリスクを大幅に削減できます。

パフォーマンスと実行効率の違い

実行速度の比較

多くの人が疑問に思うのが、「C++はC言語よりも遅いのか?」という点です。

結論から言うと、適切に書かれたC++のコードは、C言語とほぼ同等の実行速度を実現できます。
// C言語での配列処理
void processArray(int* arr, int size) 
{
    for (int i = 0; i < size; i++) 
    {
        arr[i] = arr[i] * 2 + 1;
    }
}
// C++での同等処理(最適化されたコード)
void processArray(std::vector<int>& arr) 
{
    for (auto& value : arr) 
    {
        value = value * 2 + 1;
    }
}

// さらに最適化された書き方
void processArrayOptimized(std::vector<int>& arr) 
{
    std::transform(arr.begin(), arr.end(), arr.begin(),
                   [](int x) { return x * 2 + 1; });
}

C++の最適化機能

テンプレートによる最適化

C++のテンプレート機能により、コンパイル時に型に特化したコードが生成され、実行時のオーバーヘッドを削減できます。

インライン関数

小さな関数はインライン展開により、関数呼び出しのオーバーヘッドを削減できます。

// インライン関数の例
inline int square(int x) 
{
    return x * x;
}

RAIIとスタック利用

C++のRAII機能により、多くの場合でヒープ領域よりも高速なスタック領域を効率的に活用できます。

実際のところ、現代的なC++コードは、開発効率を損なうことなく、C言語と同等のパフォーマンスを実現できるのが大きな魅力です。

どちらを学ぶべきか?学習の指針

リンドくん

リンドくん

結局、自分はC言語とC++のどちらを学んだ方がいいんでしょうか?

たなべ

たなべ

それは自分の目標によって変わるんだ。
でも現代的な開発をしたいなら、C++から始めることをおすすめするよ。理由を詳しく説明するね。

C++から学ぶことをおすすめする理由

現代的な開発手法を身につけられる

C++を学ぶことで、オブジェクト指向プログラミングやジェネリックプログラミングなど、現代的な開発手法を自然に身につけられます。

就職・転職に有利

多くの企業がC++エンジニアを求めており、ゲーム開発、システム開発、組み込み開発など幅広い分野で活用されています。

C言語の知識も同時に習得

C++を学ぶ過程で、C言語の基本的な概念も自然と身につきます。

それでもC言語を学ぶべき場合

組み込みシステム開発を目指す場合

マイコンなどのリソースが限られた環境では、C言語が主流です。

// 組み込みシステムでの典型的なC言語コード
#include <avr/io.h>
#include <util/delay.h>

int main(void) 
{
    // LEDポートを出力に設定
    DDRB |= (1 << PB0);
    
    while(1) 
    {
        // LEDを点灯
        PORTB |= (1 << PB0);
        _delay_ms(500);
        
        // LEDを消灯
        PORTB &= ~(1 << PB0);
        _delay_ms(500);
    }
    
    return 0;
}

システムプログラミングの基礎を学びたい場合

OSやデバイスドライバなどの低レベルプログラミングでは、C言語の知識が重要です。

学習ロードマップの提案

初心者におすすめの学習順序

  1. C++の基本文法とオブジェクト指向 - 現代的なプログラミングの基礎
  2. STLとモダンC++の機能 - 実践的な開発スキル
  3. 必要に応じてC言語の詳細 - 特定分野での要求に応じて

この順序で学ぶことで、効率的に実用的なプログラミングスキルを身につけられるでしょう。

まとめ

リンドくん

リンドくん

C++とC言語の違いがよく分かりました!やっぱりC++の方が現代的で便利そうですね。

たなべ

たなべ

そうだね!でもどちらも価値のある言語だから、自分の目標に合わせて選択することが大切だよ。
まずはC++から始めて、基礎をしっかり身につけていこう!

この記事では、C++とC言語の違いについて詳しく解説してきました。

重要なポイントをまとめます。

  • C++はC言語のスーパーセットで、C言語の機能を含みつつ大幅に拡張された言語
  • オブジェクト指向プログラミングにより、コードの整理と再利用性が向上
  • 型安全性の強化で、より安全なプログラミングが可能
  • 自動メモリ管理機能により、メモリリークなどのエラーを削減
  • パフォーマンスはC言語とほぼ同等を維持しながら開発効率が向上

現代のソフトウェア開発においては、C++の方がより実践的で学習効果が高いと言えるでしょう。
特に、これからプログラミングを学び始める方には、C++から学習を始めることをおすすめします。

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