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リンドくん
たなべ先生、Go言語の「Goroutine」って何ですか?よく「軽量スレッド」って聞くんですけど...
たなべ
Goroutineは、Go言語の最大の特徴の一つなんだ。
簡単に言うと、複数の処理を同時並行で実行できる仕組みのことなんだよ。従来のスレッドよりもはるかに軽量で使いやすいのが特徴なんだ。
Go言語を学び始めると、必ずと言っていいほど目にする「Goroutine(ゴルーチン)」という機能。
「並行処理ができる」「軽量スレッド」といった説明を聞いても、実際にどんなメリットがあるのか、どう使えばいいのかが分からないという方も多いのではないでしょうか?
Goroutineを理解することで、プログラムの実行速度を大幅に向上させることができ、現代のマルチコア環境を最大限に活用できるようになります。
この記事では、プログラミング初心者でも理解できるよう、Goroutineの基本概念から実践的な使い方まで、段階的に解説していきます。
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リンドくん
でも先生、「並行処理」って普通のプログラムとどう違うんですか?
たなべ
普通のプログラムは順番に一つずつ処理していくんだけど、並行処理では複数の処理を同時に進めることができるんだ。
例えば、料理で言うと、ご飯を炊きながら味噌汁を作るような感じかな。
まず、並行処理の基本概念を理解しましょう。通常のプログラムは逐次処理と呼ばれる方式で動作します。つまり、一つの処理が完了してから次の処理に移るという流れです。
一方、並行処理では複数の処理を同時に実行できます。これにより、以下のようなメリットが生まれます。
Go言語のGoroutineには、従来のスレッドと比べて以下のような優れた特徴があります。
軽量性
簡単な起動方法
go
キーワードを関数の前に付けるだけで並行処理が開始効率的なスケジューリング
このように、Goroutineは「使いやすさ」と「高性能」を両立した画期的な仕組みなのです。
リンドくん
実際にはどうやって使うんですか?難しそうですけど...
たなべ
実は驚くほど簡単なんだよ!
関数の前にgo
と書くだけで、その関数が並行して実行されるんだ。まずは基本的な例を見てみよう。
まず、最もシンプルなGoroutineの例を見てみましょう。
このコードを実行すると、sayHello()
関数がメイン関数と同時並行で実行されることが確認できます。
複数のGoroutineを同時に起動することも簡単です。
この例では、5つのworker
関数が同時並行で実行され、それぞれが独自のタスクを処理していることが分かります。
Goroutineを使う際に注意すべき重要なポイントがあります。
メイン関数の終了
実行順序の不確定性
これらの特性を理解することで、安全で効率的な並行プログラムを作成できるようになります。
リンドくん
複数のGoroutineが動いてるとき、お互いにデータをやり取りしたいときはどうするんですか?
たなべ
それにはGo言語のチャネル(Channel)という機能を使うんだ!
チャネルを使えば、Goroutine同士で安全にデータをやり取りできるんだよ。まさに「パイプ」のような働きをするんだ。
チャネル(Channel)は、Goroutine間でデータを安全に送受信するための仕組みです。Go言語では「メモリを共有するのではなく、通信によってメモリを共有する」という哲学があり、チャネルはその中核となる機能です。
チャネルには以下のような特徴があります。
まず、シンプルなチャネルの例を見てみましょう。
この例では、sender
関数がチャネルにデータを送信し、メイン関数がそれを受信しています。
通常のチャネルは同期的に動作しますが、バッファ付きチャネルを使うことで非同期な通信も可能です。
バッファ付きチャネルを使うことで、送信側と受信側の処理速度の違いを吸収できます。
time.Sleep
で待機する代わりに、sync.WaitGroup
を使ってより確実な同期制御を行う方法もあります。
この方法を使うことで、すべてのGoroutineが確実に完了してからプログラムを終了できます。
実践的にGoroutineを使う際の重要なポイントをまとめておきます。
適切なGoroutine数の制御
エラーハンドリングの重要性
リソースリークの防止
これらのパターンを理解することで、実際のプロジェクトでGoroutineを効果的に活用できるようになります。
リンドくん
Goroutineを使うと、実際にどのくらい速くなるんですか?
たなべ
それは気になるよね!
実際にベンチマークを取ってみると、処理によっては数倍から数十倍も高速化できることがあるんだ。具体例で見てみよう!
まず、CPU集約的な処理(計算処理)でのパフォーマンス改善例を見てみましょう。
次に、I/O集約的な処理(ネットワーク通信)での改善例を見てみましょう。
実際のパフォーマンス測定結果から、以下のようなガイドラインが得られます。
CPU集約的処理
I/O集約的処理
メモリ使用量への配慮
これらの知見を活用することで、実際のプロジェクトでも大幅なパフォーマンス改善を実現できます。
リンドくん
Goroutineを使ってて、たまにプログラムが固まったり、予期しない結果になったりするんですが...
たなべ
それは初心者がよく遭遇する問題だね!
Goroutineにはいくつかの典型的な落とし穴があるんだ。これらを知っておくことで、トラブルを未然に防げるよ。
複数のGoroutineが同じ変数に同時にアクセスすることで発生する問題です。
問題のあるコード例:
修正版(Mutexを使用)
Goroutine同士が互いの処理完了を待ち続けて、プログラムが停止してしまう問題です。
デッドロックが発生するコード
修正版
Goroutineが終了せずにメモリに残り続ける問題です。
リークが発生するコード
修正版(コンテキストを使用)
Goroutineの問題をデバッグするための便利なテクニックをご紹介します。
レースコンディションの検出
Goroutineの数を監視
チャネルの状態確認
これらのパターンを理解することで、安全で効率的なGoroutineプログラムを作成できるようになります。
リンドくん
Goroutineってすごく強力な機能なんですね!でも、使いこなすにはかなり練習が必要そうです...
たなべ
そうだね!でも心配しないで。基本をしっかり理解して、小さなプログラムから始めれば必ずマスターできるよ。
現代のソフトウェア開発では並行処理は必須スキルだから、今のうちに身につけておくと将来大きなアドバンテージになるはずだ!
この記事では、Go言語のGoroutineについて、基本概念から実践的な活用法まで幅広く解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
go
キーワード一つで並行処理を開始現代のソフトウェア開発では、以下のような場面でGoroutineが威力を発揮します。
並行処理やシステム設計の理解は、効率的なソフトウェアを構築するためにも欠かせない基礎知識です。
Goroutineのようなコンピュータサイエンスの基盤技術をしっかりと理解することで、現代においても価値の高いエンジニアとして活躍できるでしょう。
まずは今回紹介したサンプルコードを実際に動かしてみて、Goroutineの動作を体感してください。
そして、自分のプロジェクトでも並行処理が活用できる場面を見つけて、実践してみることが大切です。