最終更新
リンドくん
たなべ先生、ルーティングって何ですか?
ネットワークの勉強をしてるとよく出てくるんですけど...
たなべ
ルーティングはデータが正しい宛先に届くための道案内みたいなものなんだよ。郵便配達の仕組みを想像してみると分かりやすいかもしれないね。
ネットワークを学び始めると、必ず出会う重要な概念が「ルーティング」です。
インターネットでWebサイトを見たり、メールを送ったりできるのも、すべてルーティングのおかげと言っても過言ではありません。
しかし、「静的ルート」や「動的ルーティング」といった用語を聞いて、何が違うのか混乱してしまう方も多いのではないでしょうか?
今回は、ネットワークの心臓部とも言えるルーティングの基本について、初心者の方でも理解できるよう丁寧に解説していきます。
HackATAは、エンジニアを目指す方のためのプログラミング学習コーチングサービスです。 経験豊富な現役エンジニアがあなたの学習をサポートします。
✓ 質問し放題
✓ β版公開中(2025年内の特別割引)
リンドくん
そもそもルーティングって、なぜ必要なんですか?
たなべ
それはね、インターネットが無数のネットワークの集合体だからなんだ。
自分のデータが目的地に届くためには、どの道を通れば良いかを判断する必要があるんだよ。
ルーティングとは、ネットワーク上でデータパケットを送信元から宛先まで届けるための経路を決定する仕組みのことです。
この経路決定を行うのがルータ(Router)という機器です。
身近な例で考えてみましょう。
郵便物を送るとき、自分の手元から相手の手元に届くまでには、複数の郵便局を経由しますよね。それぞれの郵便局が「この住所なら次はあの郵便局に送ろう」と判断することで、最終的に正しい相手に届きます。
ネットワークのルーティングも同じ原理です。
データパケットは複数のルータを経由しながら、最終的な宛先に到達するのです。
ルータがどの経路を選ぶかを決めるために参照するのがルーティングテーブルです。
これは、「この宛先に行くには、次のルータはこれ」という情報をまとめた表のようなものです。
ルーティングテーブルには、主に以下の情報が含まれています。
このルーティングテーブルをどうやって作るかによって、「静的ルート」と「動的ルーティング」に分かれるのです。
ルーティングを理解することは、ネットワークエンジニアにとって必須のスキルです。
なぜなら、以下のような場面で役立つからです。
ルーティングの基本を理解することで、インターネットがどう動いているのかという根本的な仕組みが見えてくるはずです。
リンドくん
静的ルートって、どういう意味なんですか?
たなべ
静的ルートは、人間が手動で経路を設定する方法なんだ。
一度設定したら、自動では変わらないから「静的」って呼ばれているんだよ。
静的ルート(スタティックルート)とは、ネットワーク管理者が手動でルーティングテーブルに経路を登録する方法です。
つまり、「この宛先に行くには、このルータを経由しなさい」という指示を、自分で直接設定するのです。
静的ルートの特徴は以下の通りです。
実際の静的ルート設定を見てみましょう。
例えば、Cisco機器での設定は次のようになります。
この設定の意味は以下のようになります。
192.168.2.0 - 宛先ネットワーク255.255.255.0 - サブネットマスク10.0.0.2 - ネクストホップ(次のルータ)のIPアドレスつまり、「192.168.2.0/24のネットワークに行きたいなら、10.0.0.2に送れ」という指示を与えているのです。
静的ルートは、以下のような場面で特に有効です。
このように、静的ルートはシンプルで確実性が高い反面、柔軟性に欠けるという特徴があります。
静的ルートには、以下のような明確なメリットがあります。
一方で、静的ルートには以下のような課題もあります。
特に、大規模なネットワークでは、すべてのルートを手動で管理するのは現実的ではありません。
そこで登場するのが「動的ルーティング」なのです。
リンドくん
動的ルーティングは、静的ルートと何が違うんですか?
たなべ
動的ルーティングは、ルータ同士が自動で経路情報を交換する方法なんだ。
ネットワークの状態が変わっても、自動で最適な経路を見つけてくれるんだよ。
動的ルーティングとは、ルータがルーティングプロトコルというルールに従って、自動的に経路情報を交換し、ルーティングテーブルを更新する方法です。
静的ルートとの最大の違いは、自動化と適応性です。
ネットワークの構成が変わったり、障害が発生したりしても、ルータ同士が協力して最適な経路を自動的に見つけ出します。
動的ルーティングには、いくつかの代表的なプロトコルがあります。
動的ルーティングの主なメリットは以下の通りです。
一方で、動的ルーティングには以下のような課題もあります。
動的ルーティングでは、メトリックという値を使って経路の優劣を判断します。
メトリックとは、その経路の「コスト」や「品質」を数値化したものです。
プロトコルによって使用するメトリックは異なります。
ルータは、メトリックが最も小さい(コストが低い)経路を最適な経路として選択します。
リンドくん
結局、どっちを使えばいいんですか?
たなべ
実は、どちらが絶対的に優れているというわけではないんだ。
ネットワークの規模や目的に応じて使い分けることが大切なんだよ。
静的ルートと動的ルーティングを選ぶ際の基準は以下の通りです。
実際のネットワークでは、静的ルートと動的ルーティングを組み合わせることが一般的です。
例えば、以下のような構成がよく使われます。
このように、それぞれの長所を活かした設計が重要です。
ネットワークが成長していく過程で、静的ルートから動的ルーティングへの移行が必要になることがあります。
移行時のポイントは以下の通りです。
ネットワークの規模や要件に応じて、最適なルーティング方法を選択することが、安定したネットワーク運用の鍵となります。
リンドくん
ルーティングって奥が深いですね!でも基本的な違いは理解できました!
たなべ
ルーティングはネットワークの核心部分だから、これが分かるとネットワーク全体の仕組みが見えてくるようになるよ。ぜひ実際に設定を試してみてね!
今回は、ルーティングの基本から、静的ルートと動的ルーティングの違いまで詳しく解説してきました。
重要なポイントをおさらいしましょう。
ルーティングを理解することは、ネットワークエンジニアとしての第一歩です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、実際に手を動かして設定してみることで、確実に理解が深まっていきます。
ネットワークの世界は広く、学ぶべきことは数多くあります。
しかし、ルーティングという基礎をしっかり理解することで、より高度な技術への道が開けてくるはずです。