最終更新
リンドくん
たなべ先生、ニュースでWebサイトがハッキングされたって話をたまに聞くんですけど...自分もWebアプリを作り始めたので心配です。
たなべ
Webアプリを開発する人にとって、セキュリティは絶対に無視できない重要なテーマなんだよ。
今日は初心者でもわかるように、基本的な攻撃手法とその防御方法を一緒に学んでいこう。
Webアプリケーションを開発していると、必ず直面するのがセキュリティの問題です。個人情報の流出や不正アクセスといったニュースは後を絶ちません。
しかし、プログラミングを始めたばかりの方にとって、セキュリティは難しそうで何から学べばいいのかわからない...そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
Webセキュリティの基本は決して難しいものではありません。
主要な攻撃手法とその対策を理解することが第一歩なのです。
この記事では、Webアプリケーション開発者が必ず知っておくべき代表的な攻撃手法と、それぞれに対する具体的な防御戦略をわかりやすく解説していきます。
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リンドくん
でも先生、個人で作ってる小規模なアプリなら、そこまでセキュリティを気にする必要ないんじゃないですか?
たなべ
それが大きな誤解なんだ!
規模に関係なく、すべてのWebアプリがセキュリティリスクにさらされているんだよ。攻撃者は大企業だけでなく、脆弱性のある小規模サイトも狙うからね。
Webアプリケーションのセキュリティを軽視すると、以下のような深刻な問題が発生する可能性があります。
これらの問題は、規模の大小に関わらず発生します。むしろ、セキュリティ対策が不十分な小規模サイトほど攻撃のターゲットになりやすいのです。
Webアプリケーションを開発する以上、そのアプリを使うユーザーの安全を守る責任が開発者にはあります。「自分はまだ初心者だから...」という言い訳は通用しません。
セキュリティは特別なスキルではなく、すべての開発者が身につけるべき基本的な知識なのです。
幸いなことに、主要な攻撃手法とその対策はパターン化されており、基本を押さえれば多くの脅威から守ることができます。
リンドくん
具体的にはどんな攻撃があるんですか?
たなべ
代表的なものをいくつか見ていこう。まずはそれぞれの攻撃がどのように動作するのかを理解することが大切だよ。
SQLインジェクションは、最も古典的でありながら、今でも頻繁に見られる攻撃手法です。攻撃者が悪意あるSQL文を入力することで、データベースを不正に操作する攻撃です。
例えば、以下のような脆弱なログイン処理があったとします。
このコードでは、ユーザー入力をそのままSQL文に埋め込んでいます。攻撃者が以下のような入力をすると、どうなるでしょうか?
すると、実行されるSQL文は以下のようになります。
'1'='1'は常に真なので、パスワードを知らなくてもログインできてしまうのです。これがSQLインジェクションの基本的な仕組みです。
XSS(Cross-Site Scripting)は、攻撃者が悪意あるJavaScriptコードをWebページに埋め込む攻撃です。このスクリプトは、そのページを閲覧した他のユーザーのブラウザで実行されます。
例えば、以下のような掲示板アプリがあったとします。
攻撃者が以下のようなコメントを投稿すると...
このコメントを見た他のユーザーのブラウザで、上記のスクリプトが実行され、Cookie情報が攻撃者のサーバーに送信されてしまいます。
Cookieにはセッション情報が含まれることが多いため、攻撃者はそのユーザーになりすますことができてしまうのです。
CSRFは、ユーザーが意図しない操作を実行させる攻撃です。ユーザーがログイン済みのサイトに対して、攻撃者が用意した罠サイトから不正なリクエストを送信させます。
例えば、銀行サイトで以下のようなURLで送金処理が行われるとします。
攻撃者は以下のような罠サイトを作成します。
ユーザーが銀行サイトにログインした状態でこの罠サイトを訪問すると、画像を読み込もうとして送金リクエストが自動的に送信されてしまいます。
ディレクトリトラバーサルは、本来アクセスできないはずのファイルやディレクトリにアクセスする攻撃です。
攻撃者がfile=../../../etc/passwdのようなパラメータを指定すると、システムの重要なファイルが読み取られてしまう可能性があります。
リンドくん
怖い攻撃がたくさんありますね...どうやって防げばいいんですか?
たなべ
大丈夫!それぞれの攻撃には確立された対策方法があるんだ。基本を押さえれば、多くの攻撃から守ることができるよ。
SQLインジェクションを防ぐ最も効果的な方法は、プリペアドステートメント(パラメータ化クエリ)を使用することです。
プリペアドステートメントでは、SQL文とデータが明確に分離されます。?の部分にはデータのみが入り、SQL文として解釈されることはありません。
これにより、攻撃者が特殊な文字を入力しても、それはただの文字列として扱われるため、SQLインジェクションを防ぐことができます。
他にも、以下のような対策が有効です。
XSSを防ぐには、ユーザー入力をそのまま表示せず、必ず適切にエスケープすることが重要です。
多くのモダンなフレームワークでは、デフォルトでエスケープ処理が行われます。例えば、Reactでは以下のように書くだけで自動的にエスケープされます。
エスケープ処理により、<script>などの特殊文字は<script>のように変換され、HTMLとして解釈されなくなります。
その他の対策として以下があります。
CSRFを防ぐには、CSRFトークンを使用した検証が効果的です。
CSRFトークンは、正規のフォームからのリクエストであることを確認するための秘密の値です。サーバー側でトークンを生成してフォームに埋め込み、リクエスト時にそのトークンが正しいかを検証します。
攻撃者は正しいトークンを知ることができないため、CSRF攻撃を防ぐことができます。
その他の対策として以下があります。
ディレクトリトラバーサルを防ぐには、ユーザー入力から直接ファイルパスを生成しないことが重要です。
この実装では、以下の対策を行っています。
/、\、..)が含まれていないかチェックresolve())して..などを解決リンドくん
いろいろな対策があるんですね。でも、すべてを覚えるのは大変そうです...
たなべ
確かに細かい対策は多いけど、基本的な原則を押さえておけば、多くの脆弱性を防げるんだ。その原則を紹介するね。
すべてのユーザー入力は信頼できないという前提で開発することが重要です。以下のような対策を常に心がけましょう。
例えば、メールアドレスの入力欄では以下のようなバリデーションを行います。
アプリケーションやデータベースユーザーには、必要最小限の権限のみを付与しましょう。
単一の防御策に頼らず、複数の防御層を組み合わせることが重要です。
例えば、SQLインジェクション対策では以下のような多層防御が考えられます。
一つの防御が突破されても、他の防御層が攻撃を阻止できる可能性が高まります。
デフォルトで安全な設定にしておくことも重要です。
HttpOnlyとSecure属性をデフォルトで設定セキュアデフォルトにすることで、設定漏れによる脆弱性を防ぐことができます。
リンドくん
開発するときに、何をチェックすればいいかわかりやすいリストがあると助かります!
たなべ
そうだね!実際の開発で使えるチェックリストを用意したよ。これを参考にして、安全なアプリを作っていこう。
Webアプリケーションを開発する際、以下の項目を確認しましょう。
入力処理
認証・認可
データベース
通信
SecureとHttpOnly属性を設定しているかエラー処理
開発が完了した後も、定期的にセキュリティをチェックすることが重要です。
リンドくん
セキュリティって思ってたより身近で、基本を押さえれば防げるものなんですね!
たなべ
その通り!セキュリティは特別なものじゃなく、開発の基本なんだ。今日学んだことを実践して、安全なWebアプリを作っていこう!
この記事では、Webアプリケーションセキュリティの基礎として、代表的な攻撃手法とその防御戦略について解説してきました。
重要なポイントをおさらいしましょう。
そして、セキュアコーディングの基本原則として以下を常に意識しましょう。
セキュリティは一度学んで終わりではなく、継続的に学び、実践していくものです。
新しい攻撃手法が日々生まれていますし、使用しているフレームワークやライブラリも更新されていきます。
しかし、基本的な原則とこの記事で紹介した対策を理解しておけば、多くの脅威から自分のアプリケーションを守ることができます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、一つ一つ確実に実装していけば、必ず安全なWebアプリケーションを作れるようになります。
Webアプリケーション開発において、セキュリティは後回しにしてはいけません。
設計段階から意識し、開発の各段階でセキュリティチェックを行うことが大切です。
安全なWebアプリケーション開発を通じて、ユーザーに信頼されるサービスを作っていきましょう!