楽しく『初めてのプログラミング』を体験しよう！Scratchで学ぶプログラミングの概念

こんにちは、編集長のたなべです！

「プログラミングの勉強をしたい」と言っても、プログラミングを学び始めることは高い壁に感じがちです。
そういった際に効果的なソフトウェアとして、今回はScratch（スクラッチ）を紹介します。

主に子ども向けのツールではありますが、大人でもハマる人が大勢いるほど奥深いソフトです。
さらに無料で使え、Windows・Mac・Linuxとプラットフォームを選ばず使えます。

今から「プログラミングを軽く触れてみたい」「子どもにIT教育をしたい」と考えている方はぜひご覧ください。

Scratchとは

Scratchは、MITメディアラボによって子ども向けに開発されたビジュアルプログラミングツールです。
機能のブロックをつなげることでシステムを表現できるブロックプログラミングを体験できます。いわゆるノーコードツールの一種です。

ブロックの組み合わせによってプログラムを作成することで、プログラミングに必要な論理的思考を楽しく学べるようになっています。

主に8〜16歳の子どもたちを対象としていますが、直感的で楽しい操作性ゆえに全年齢層の初心者に愛用されています。
また、巨大なScratchコミュニティが形成されており、世界中から集まった何百万ものプロジェクトが共有されてるため、他の人の作品を遊ぶことも可能です。

プログラミング教育に最適な理由

プログラミング教育においてScratchが最適な理由は、クリエイティブさを活かしつつ、プログラミングに必要な考え方を学べる点にあります。
初心者、特に子どもたちにとって、従来のテキストベースのプログラミング言語は挫折の理由になりがちです。しかし、Scratchによるビジュアルプログラミングは、カラフルなブロックをドラッグ＆ドロップするだけでコードを組み立てられるため、複雑な構文を覚える必要がありません。

また、Scratchは自分のためにひたすらゲームやアプリを作るだけでなく、Scratchコミュニティに公開することもできるため、「誰かに評価してもらいフィードバックをもらう」という貴重な体験もできます。

Scratchをインストール

実際に触ることが何よりも大切なので、まずはScratchをインストールしてみましょう。

ScratchはWebブラウザでも使うことができますが、オフラインで使用できるデスクトップ版としても提供されています。
インターネット環境がない環境でも、インストールしておけばいつでもScratchを使用できます。

Scratchデスクトップ版インストール

Scratchの使い方

ここでは簡単にScratchの使い方を紹介していきます。

1. プロジェクト作成

ScratchのWeb版でもデスクトップ版でも、「ファイル」→「新規」で新規プロジェクトを作成できます。
最初に開いた状態では、すでに新規プロジェクトが開かれているのでそのまま作業しても問題ありません。

新規プロジェクト作成

2. スプライトと背景選択

スプライトとは、プログラムで操作するオブジェクト（画像など）を言います。
Scratchに最初から入っているスプライトからキャラクターや物体を選び、プロジェクトに追加することで利用可能になります。

また、背景を選択してプロジェクトの背景画像を設定することも可能です。

スプライトと背景選択

3. ブロックを使ったプログラミング

画面左側のブロックパレットから必要なブロックを選択し、ドラッグ＆ドロップで編集画面に移動させることで、スプライトに動作をプログラムできます。
ブロックはカテゴリー別に色分けされており、動き、見た目、音、イベント、制御、調べる、演算、変数などのカテゴリーがあり、それぞれが異なる挙動を付与します。

ブロックの配置

4. イベント追加でスタート制御

「イベント」カテゴリーから「スプライトがクリックされたとき」や「旗がクリックされたとき」などのイベントブロックを使用して、プログラムの実行を開始します。
これらのイベントブロックは、スプライトの動作やアニメーションのトリガーとして機能します。

イベントの配置

5. 作ったプログラムを確認

ブロックを組み合わせてプログラムを作成したら、「緑の旗」をクリックしてプログラムを実行し、スプライトが期待通りに動作するかを確認しましょう。
動作しない場合は、ブロックの配置を見直して問題点を修正して再びトライしながら直していきます。

旗アイコンでスタート

6. プロジェクトの共有

Web版のScratchでは、「共有する」ボタンから自分の作品をScratchコミュニティに共有することができます。フィードバックをもらうことでよりよい作品のアイディアを受け取れることもあるので、ぜひ共有してみてください。
オフラインのデスクトップ版では、一度プロジェクトを保存し、改めてWeb版でプロジェクトを読み込むことで共有できます。

Scratchアカウント作成①

Scratchアカウント作成②

「共有」にはScratchアカウントが必須なので、Webサイトから登録してみましょう。

共有ボタン

Scratchで作れるたくさんの世界

Scratchは簡単にアプリを作ることができますが、どういった用途に使われることが多いか紹介していきます。

ゲームの制作

簡単なクリックゲームから複雑なアドベンチャーゲームまで、Scratchを使って多様なジャンルのゲームを作成できます。
以下はScratchで実現できる機能の例です。

インタラクティブな物語やアニメーション

登場人物や背景をカスタマイズして、見ている人が操作できる物語を作れます。まるで動いて操作できる絵本のようなものです。

教育ツール

数学や科学の概念を教えるためのクイズやゲームの作成にも使われます。
さらには歴史的な出来事や地理的な知識を学べる物語やシミュレーションの開発にも使えます。

アートや音楽

Scratchの描画とアニメーションツールを使用してデジタルアート作品を作成できます。
音楽ブロックを使って独自の楽曲を作成し、ビジュアルアートと組み合わせるアプローチも可能です。

プログラミングスキル

Scratchはプログラミングの基本的な考え方が学べるようになっています。
簡単なゲーム制作などを通して、ITに対する苦手意識克服や、創造性を育む用途にも最適です。

プログラミング教育を考えている保護者の方へ

情報教育の重要性が提唱され、多くの教育機関でIT教育が必須となりました。
これからの時代、まずますプログラミングをはじめとしたIT教育の重要性は高まっていくでしょう。そういった事情の最初の一歩目として、Scratchは非常に有効です。

また、タブレットでも使うことができ、インストールせずにWebブラウザだけで完結できることも強みです。
複雑な作業を行うことなく使えるツールは、導入ハードルが低く、違和感なく子どもと一緒に使っていけます。

さらに、信頼できる開発元であるため安全に学べる環境を用意できるということもメリットです。
子どもにとってアクセスすべきではないものへアクセスできないプラットフォームであれば、大人も一緒に子どもと楽しみながら学べることでしょう。

プログラミング教育をしている教育者へ

プログラミングを教える際、もし時間が許すのであればぜひScratchを取り入れることをおすすめします。
私自身、体験授業講師をご依頼いただいた学校で2時間のみの体験学習をする際にScratchを取り入れたところ、多くの学習者に満足いただけました。

小学生だけでなく、中学生〜高校生であっても、スマートフォンがメインデバイスのこの時代、まずはパソコン慣れするという意味でもScratchは有効です。
クリックや文字入力、ドラッグ＆ドロップという基礎的なパソコンの操作学習が、すぐさまプログラムとして形になる様子を体験してもらうことができることは大きな糧となります。

特にゲーム制作やアート分野に興味がある子どもにとって、見て触って楽しめるScratchは最適な選択肢といえるでしょう。

遊んで学んで、もっと深く

Scratchの使い方を学ぶことは、プログラミングの楽しさを発見し、創造的な思考を育む素晴らしい方法です。
プログラムの作成を通じて学んだスキルは、将来的に他のプログラミング言語を学ぶ基礎にもなります。

最初は誰かの作ったプロジェクトの真似をすることで学習し、慣れてきたら自分だけのオリジナル作品を作ることに挑戦していきましょう。
自由にモノづくりを続けていける最適な環境であるScratchはクリエイティブな種を育てる大きな植木鉢のように想像力を受け止めてくれます。