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C++標準ライブラリalgorithmを使いこなそう!初心者でもわかる効率的なプログラミング入門

リンドくん

リンドくん

たなべ先生、C++でプログラムを書いてるんですけど、配列のソートとか検索とかを毎回自分で実装してるんです。何か効率的な方法ってありませんか?

たなべ

たなべ

C++には標準ライブラリalgorithmという、とても便利な機能が用意されているんだ。
これを使えば、ソートや検索などの処理を簡単に、しかも高性能に実装できるよ。

プログラミングを学んでいると、配列やベクターの要素をソートしたり、特定の要素を検索したり、条件に合うデータの個数を数えたりする作業がよく出てきますよね。
こうした処理を毎回一から実装していると、コードが長くなってしまうだけでなく、バグが混入する可能性も高くなってしまいます。

そんな悩みを解決してくれるのが、C++の標準ライブラリalgorithmです。
このライブラリには、データの操作に関する便利な関数が数多く用意されており、これらを使うことで効率的で読みやすいプログラムを作成できるようになります。

本記事では、C++標準ライブラリalgorithmの基本概念から実践的な使い方まで、初心者の方でもわかりやすいように段階的に解説していきます。

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C++標準ライブラリalgorithmとは何か

リンドくん

リンドくん

そもそも「標準ライブラリ」って何ですか?なんだか難しそうで...

たなべ

たなべ

心配しないで!標準ライブラリっていうのは、C++言語に最初から用意されている便利な機能の集まりなんだ。
料理で言えば、調味料や便利な道具がすでに台所に揃っているようなものだよ。

algorithmライブラリの基本概念

C++の標準ライブラリalgorithmは、STL(Standard Template Library)の一部として提供されている機能です。
このライブラリには、データの検索、ソート、変換、集計など、プログラミングでよく使われる処理を効率的に行うための関数が豊富に含まれています。

algorithmライブラリを使うメリットは以下のようなものがあります。

  • 開発時間の短縮 → 自分で実装する必要がない
  • 高いパフォーマンス → 最適化されたアルゴリズムが使用されている
  • バグの削減 → 十分にテストされた実装を使用できる
  • コードの可読性向上 → 意図が明確に伝わりやすい

使用準備

algorithmライブラリを使用するには、プログラムの冒頭で以下のヘッダファイルをインクルードします。

#include <algorithm>

また、多くの場合、vectorやarrayなどのコンテナと組み合わせて使用するため、以下のヘッダファイルも一緒にインクルードすることが多いです。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>

この準備ができれば、algorithmライブラリの豊富な機能を活用できるようになります。

よく使われるalgorithm関数の基本

sort関数 - データを並び替える

sort関数は、配列やベクターの要素を昇順(小さい順)に並び替える関数です。
使い方は非常にシンプルで、並び替えたいデータの範囲を指定するだけです。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>

int main()
{
    std::vector<int> numbers = {5, 2, 8, 1, 9, 3};
    
    // 昇順にソート
    std::sort(numbers.begin(), numbers.end());
    
    // 結果を表示
    for (int num : numbers)
    {
        std::cout << num << " ";
    }
    // 出力: 1 2 3 5 8 9
    
    return 0;
}

降順(大きい順)に並び替えたい場合は、以下のように書きます。

// 降順にソート
std::sort(numbers.begin(), numbers.end(), std::greater<int>());

find関数 - 特定の値を検索する

find関数は、指定した値がコンテナの中に存在するかを調べる関数です。
値が見つかった場合はその位置を示すイテレータを、見つからなかった場合は終端のイテレータを返します。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>

int main()
{
    std::vector<int> numbers = {1, 3, 5, 7, 9};
    
    // 5を検索
    auto result = std::find(numbers.begin(), numbers.end(), 5);
    
    if (result != numbers.end())
    {
        std::cout << "値 5 が見つかりました。位置: " << (result - numbers.begin()) << std::endl;
    }
    else
    {
        std::cout << "値 5 は見つかりませんでした。" << std::endl;
    }
    
    return 0;
}

count関数とcount_if関数 - 条件に合う要素の個数を数える

count関数は指定した値と等しい要素の個数を数え、count_if関数は指定した条件を満たす要素の個数を数える関数です。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>

int main()
{
    std::vector<int> numbers = {1, 2, 2, 3, 2, 4, 5};
    
    // 値「2」の個数を数える
    int count_twos = std::count(numbers.begin(), numbers.end(), 2);
    std::cout << "2の個数: " << count_twos << std::endl; // 出力: 3
    
    // 3以上の値の個数を数える
    int count_above_three = std::count_if(numbers.begin(), numbers.end(), 
                                          [](int x) { return x >= 3; });
    std::cout << "3以上の個数: " << count_above_three << std::endl; // 出力: 3
    
    return 0;
}

ここで使用している[](int x) { return x >= 3; }ラムダ式と呼ばれる記法で、条件を表現する便利な方法です。

効率的なコード作成のコツ

イテレータの理解

algorithmライブラリを効果的に使用するためには、イテレータの概念を理解することが重要です。
イテレータとは、コンテナ内の要素を指し示すポインタのようなもので、begin()end()で範囲を指定します。

std::vector<int> vec = {1, 2, 3, 4, 5};

// vec.begin() は最初の要素を指す
// vec.end() は最後の要素の次を指す(実際の要素ではない)
std::sort(vec.begin(), vec.end());

ラムダ式の活用

ラムダ式は、小さな関数を簡潔に記述するための記法で、algorithmライブラリと組み合わせることで非常に強力なツールとなります。

// 偶数のみを数える
int even_count = std::count_if(numbers.begin(), numbers.end(),
                               [](int x) { return x % 2 == 0; });

// 文字列の長さで比較してソート
std::sort(words.begin(), words.end(),
          [](const std::string& a, const std::string& b) {
              return a.length() < b.length();
          });

パフォーマンスを意識した選択

algorithmライブラリには似たような機能を持つ関数がいくつかありますが、用途に応じて適切なものを選択することで、パフォーマンスを向上させることができます。

  • find vs binary_search: ソート済みのデータに対してはbinary_searchの方が高速
  • sort vs partial_sort: 上位N個だけが必要な場合はpartial_sortが効率的
  • count_if vs any_of: 条件を満たす要素が存在するかだけを知りたい場合はany_ofが適している

まとめ

リンドくん

リンドくん

algorithmライブラリって、思っていたよりもずっと便利ですね!これを使えばプログラムがもっと簡潔に書けそうです。

たなべ

たなべ

そうなんだ!最初は覚えることが多く感じるかもしれないけど、使い慣れてくると「なんでもっと早く使わなかったんだろう」って思うようになるよ。
ぜひ実際のプロジェクトで活用してみてね。

C++の標準ライブラリalgorithmは、効率的で読みやすいプログラムを作成するための強力なツールです。
この記事で紹介した関数は、日常的なプログラミング作業において非常によく使われるものばかりです。

重要なポイントを振り返ってみましょう。

  • sort関数でデータの並び替えが簡単に行える
  • find関数で要素の検索が効率的に実行できる
  • count関数やcount_if関数で条件に合う要素の統計が取れる
  • ラムダ式と組み合わせることで柔軟な条件指定が可能
  • 既存の最適化されたアルゴリズムを使うことで、パフォーマンスとコード品質の向上が期待できる

algorithmライブラリには、今回紹介した以外にも多くの便利な関数が用意されています。
一度にすべてを覚える必要はありませんが、必要に応じて公式ドキュメントやリファレンスを参照しながら、徐々に活用範囲を広げていくことをおすすめします。

プログラミングを学ぶ過程では、「車輪の再発明」を避け、既存の優秀なライブラリを活用することも重要なスキルの一つです。
C++標準ライブラリalgorithmを使いこなすことで、あなたのプログラミングスキルは確実に向上するでしょう。

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