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Pythonのリスト・辞書内包表記でコードを簡潔に!初心者向け基本から応用まで

リンドくん

リンドくん

先生、Pythonのコードを見てると、よく[x for x in list]みたいな書き方を見るんですけど、これって何ですか?

たなべ

たなべ

それは内包表記(Comprehension)という、Pythonの強力な機能なんだ。
for文で何行も書いていた処理を、たった1行で書けるようになる便利な記法なんだよ。

プログラミングを学び始めて、ある程度Pythonの基本文法に慣れてくると、他の人が書いたコードで見慣れない記法に出会うことがあるのではないでしょうか?

特にリスト内包表記辞書内包表記は、最初は少し複雑に見えるかもしれませんが、マスターすると劇的にコードが短く、読みやすくなります。

この記事では、内包表記の基本的な考え方から実践的な応用まで、段階的に解説していきます。

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内包表記とは何か?基本概念を理解しよう

リンドくん

リンドくん

そもそも内包表記って何のために使うんですか?for文じゃダメなんですか?

たなべ

たなべ

for文でも同じことはできるんだけど、内包表記を使うとコードが短くなって、読みやすくなるんだ。
特に「リストを作る」「辞書を作る」といった処理では威力を発揮するよ。

内包表記の基本的な考え方

内包表記は、既存のデータ構造から新しいデータ構造を効率的に作るための記法です。
従来のfor文を使った処理を、より簡潔で読みやすい形で表現できます。

例えば、1から5までの数値を2倍にしたリストを作りたい場合を比較してみましょう。

従来のfor文を使った方法

numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
doubled = []
for num in numbers:
    doubled.append(num * 2)
print(doubled)  # [2, 4, 6, 8, 10]

リスト内包表記を使った方法

numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
doubled = [num * 2 for num in numbers]
print(doubled)  # [2, 4, 6, 8, 10]

この例からわかるように、4行で書いていた処理が1行になりました。しかも、何をしているのかが一目で理解できます。

内包表記のメリット

内包表記を使うことで得られる主なメリットは以下の通りです。

  • コードが短くなる → 複数行の処理を1行で表現できます
  • 読みやすい → 何をしているかが直感的に理解できます
  • パフォーマンスが良い → 内部的に最適化されているため、実行速度が向上します
  • Pythonらしい書き方 → Pythonコミュニティで推奨される書き方です

これらのメリットから、多くのPythonプログラマが内包表記を積極的に使用しています。

リスト内包表記の基本文法とパターン

基本的な文法

リスト内包表記の基本的な文法は以下の通りです。

[式 for 変数 in イテラブル]

この構文を理解するために、いくつかの具体例を見てみましょう。

パターン1 単純な変換

# 文字列のリストを大文字に変換
fruits = ['apple', 'banana', 'cherry']
upper_fruits = [fruit.upper() for fruit in fruits]
print(upper_fruits)  # ['APPLE', 'BANANA', 'CHERRY']

# 数値の平方を計算
squares = [x**2 for x in range(1, 6)]
print(squares)  # [1, 4, 9, 16, 25]

パターン2 条件付きフィルタリング

リスト内包表記に条件文を追加することで、特定の条件を満たす要素のみを抽出できます。

# 偶数のみを抽出
numbers = [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]
even_numbers = [num for num in numbers if num % 2 == 0]
print(even_numbers)  # [2, 4, 6, 8, 10]

# 長さが5文字以上の単語のみを抽出
words = ['cat', 'elephant', 'dog', 'butterfly', 'fish']
long_words = [word for word in words if len(word) >= 5]
print(long_words)  # ['elephant', 'butterfly']

パターン3 複雑な処理の組み合わせ

条件分岐と変換を組み合わせることで、より複雑な処理も1行で表現できます。

# 偶数は2倍、奇数は3倍にする
numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
processed = [num * 2 if num % 2 == 0 else num * 3 for num in numbers]
print(processed)  # [3, 4, 9, 8, 15]

# 文字列の長さに応じて処理を変える
words = ['a', 'hello', 'hi', 'python']
result = [word.upper() if len(word) > 2 else word * 2 for word in words]
print(result)  # ['aa', 'HELLO', 'hihi', 'PYTHON']

これらの例を見ていただくと、リスト内包表記がいかに柔軟で強力な機能かがわかるのではないでしょうか?

辞書内包表記で効率的なデータ処理

リンドくん

リンドくん

リスト内包表記はわかったんですけど、辞書でも同じようなことができるんですか?

たなべ

たなべ

その通り!辞書内包表記を使えば、辞書も効率的に作成できるんだ。
特にデータの集計や変換では非常に便利だよ。

辞書内包表記の基本文法

辞書内包表記の基本的な文法は以下の通りです。

{キー式: 値式 for 変数 in イテラブル}

基本的な使用例

# 数値とその平方の辞書を作成
squares_dict = {x: x**2 for x in range(1, 6)}
print(squares_dict)  # {1: 1, 2: 4, 3: 9, 4: 16, 5: 25}

# 文字列のリストから文字数の辞書を作成
fruits = ['apple', 'banana', 'cherry']
length_dict = {fruit: len(fruit) for fruit in fruits}
print(length_dict)  # {'apple': 5, 'banana': 6, 'cherry': 6}

既存の辞書を変換する

既存の辞書から新しい辞書を作成することもできます。

# 価格辞書を消費税込みに変換
prices = {'apple': 100, 'banana': 80, 'cherry': 150}
tax_included = {item: price * 1.1 for item, price in prices.items()}
print(tax_included)  # {'apple': 110.0, 'banana': 88.0, 'cherry': 165.0}

# 辞書のキーと値を入れ替える
original = {'a': 1, 'b': 2, 'c': 3}
swapped = {value: key for key, value in original.items()}
print(swapped)  # {1: 'a', 2: 'b', 3: 'c'}

条件付き辞書内包表記

リスト内包表記と同様に、条件文を追加できます。

# 偶数のキーのみを持つ辞書を作成
numbers = range(1, 11)
even_squares = {x: x**2 for x in numbers if x % 2 == 0}
print(even_squares)  # {2: 4, 4: 16, 6: 36, 8: 64, 10: 100}

# 特定の条件を満たすアイテムのみを抽出
students = {'Alice': 85, 'Bob': 92, 'Charlie': 78, 'Diana': 96}
high_scorers = {name: score for name, score in students.items() if score >= 90}
print(high_scorers)  # {'Bob': 92, 'Diana': 96}

辞書内包表記を使うことで、データの集計や変換処理を非常に簡潔に記述できるようになります。

応用例とベストプラクティス

実際の開発でよく使われるパターン

実際のプロジェクトでは、内包表記をどのように活用するのでしょうか?よくある実践的な例をいくつか紹介します。

CSVデータの処理

# CSVから読み込んだデータの処理例
csv_data = [
    ['Alice', '25', '85'],
    ['Bob', '30', '92'],
    ['Charlie', '22', '78']
]

# 名前と年齢の辞書を作成
people = {row[0]: int(row[1]) for row in csv_data}
print(people)  # {'Alice': 25, 'Bob': 30, 'Charlie': 22}

# スコアが80以上の人の名前のリストを作成
high_performers = [row[0] for row in csv_data if int(row[2]) >= 80]
print(high_performers)  # ['Alice', 'Bob']

APIレスポンスの処理

# JSON APIからのレスポンス例
api_response = [
    {'id': 1, 'name': 'Product A', 'price': 1000, 'in_stock': True},
    {'id': 2, 'name': 'Product B', 'price': 1500, 'in_stock': False},
    {'id': 3, 'name': 'Product C', 'price': 800, 'in_stock': True}
]

# 在庫ありの商品名のリストを作成
available_products = [item['name'] for item in api_response if item['in_stock']]
print(available_products)  # ['Product A', 'Product C']

# 商品IDと価格の辞書を作成
price_map = {item['id']: item['price'] for item in api_response}
print(price_map)  # {1: 1000, 2: 1500, 3: 800}

注意すべきポイントとベストプラクティス

内包表記を使う際に気をつけるべきポイントをまとめます。

1. 複雑になりすぎないように注意

# 悪い例:複雑すぎて読みにくい
result = [func(x) for sublist in data for x in sublist if condition(x) and other_condition(x)]

# 良い例:適度に分割して可読性を保つ
filtered_data = [x for sublist in data for x in sublist if condition(x)]
result = [func(x) for x in filtered_data if other_condition(x)]

2. パフォーマンスを意識する

# 大きなデータセットの場合はジェネレータ式を検討
# リスト内包表記(メモリを多く使用)
large_list = [expensive_function(x) for x in huge_dataset]

# ジェネレータ式(メモリ効率が良い)
large_generator = (expensive_function(x) for x in huge_dataset)

3. 適切な場面で使用する

内包表記は万能ではありません。複雑なロジックや副作用を伴う処理には、従来のfor文の方が適している場合もあります。

# 内包表記に適している例
squared_evens = [x**2 for x in numbers if x % 2 == 0]

# 従来のfor文が適している例(副作用がある処理)
for item in items:
    if validate(item):
        save_to_database(item)
        send_notification(item.user)

まとめ

リンドくん

リンドくん

内包表記って、最初は難しそうに見えたけど、慣れるとすごく便利ですね!

たなべ

たなべ

そうだね!最初はシンプルなパターンから始めて、徐々に複雑な処理にも挑戦してみてほしいな。
内包表記をマスターすると、Pythonがもっと楽しくなるよ!

この記事では、Pythonの内包表記について基本から応用まで詳しく解説してきました。

重要なポイントをおさらいしましょう。

  • リスト内包表記[式 for 変数 in イテラブル]の形で、for文よりも簡潔にリストを作成できます
  • 辞書内包表記{キー式: 値式 for 変数 in イテラブル}の形で、効率的に辞書を構築できます
  • 条件文の追加により、フィルタリングと変換を同時に行えます
  • 適切な場面で使用することで、コードの可読性とパフォーマンスが向上します

内包表記は、Pythonの「Simple is better than complex(シンプルであることは複雑であることよりも良い)」という哲学を体現した機能です。
最初は少し慣れが必要かもしれませんが、使いこなせるようになると、より効率的で読みやすいコードが書けるようになります。

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