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リンドくん
たなべ先生、Pythonで重い処理をするとすごく時間がかかってしまうんです...何か解決方法ありませんか?
たなべ
実は、Pythonにはmultiprocessingという強力な機能があるんだ。これを使うと、複数のCPUコアを同時に使って処理を高速化できるよ。
今日はその使い方を一緒に学んでいこう!
プログラミングを学んでいると、「このデータ処理、すごく時間がかかるなあ...」と感じたことはありませんか?
特に大量のデータを扱ったり、複雑な計算を行ったりする際に、処理の完了を待っている時間がもったいないと思うことは多いことでしょう。
そんな時に役立つのが、multiprocessing(マルチプロセッシング)という技術です。
これは複数のCPUコアを同時に活用することで、処理速度を劇的に向上させることができる仕組みです。
この記事では、Python初心者の方でも理解できるよう、multiprocessingの基本概念から実際の使い方まで、ステップバイステップで解説していきます。
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リンドくん
そもそも「並列処理」って何なんですか?普通の処理とどう違うんでしょうか?
たなべ
普通の処理は一つずつ順番に作業を進めるけど、並列処理は複数の作業を同時に進められるんだ。
まるで料理で、一人で作るより複数人で分担して作る方が早いのと同じだよ。
通常のプログラムはシーケンシャル処理、あるいは逐次処理と呼ばれる方法で動作します。これは、タスクを一つずつ順番に実行していく方式です。
例えば、1000個のデータを処理する場合、1番目から1000番目まで順番に処理していきます。
一方、並列処理では複数のプロセス(処理の単位)を同時に実行することで、全体の処理時間を短縮できます。
先ほどの例でいえば、1000個のデータを4つのプロセスに分けて、それぞれが250個ずつ処理することで、理論上は4倍の速度で処理が完了します。
Pythonには並列処理を実現する方法として、multiprocessing
とthreading
の2つがあります。これらの違いを理解することは重要です。
特にPythonでは、GIL(Global Interpreter Lock)という仕組みがあるため、CPU集約的な処理ではmultiprocessing
の方が効果的です。
GILによって、threading
ではCPU処理が実質的に並列化されないことが多いのです。
multiprocessingが効果的なケースは以下のような場面です。
逆に、ファイルの読み書きやネットワーク通信が中心の処理では、multiprocessingよりもasyncio
やthreading
の方が適している場合があります。
リンドくん
実際にはどうやって使うんですか?難しそうですが...
たなべ
心配しないで!基本的な使い方は意外とシンプルなんだよ。
まずは簡単な例から始めてみよう。
まず、multiprocessingを使わない通常の処理と比較してみましょう。
次に、同じ処理をmultiprocessingで並列化してみます。
Pool.map()
は、multiprocessingで最もよく使われるメソッドの一つです。使い方は以下の通りです。
この方法では、引数のリストの各要素に対して指定した関数を並列実行し、結果をリストで返します。
デフォルトでは、CPUのコア数と同じ数のプロセスが作成されますが、明示的に指定することも可能です。
適切なプロセス数は、CPUのコア数や処理内容によって変わります。
一般的には、CPUのコア数と同じか、少し少ない数を指定するのが効果的です。
リンドくん
もう少し実用的な例も見てみたいです!実際の開発でどんな場面で使えるんでしょうか?
たなべ
そうだね!実際のプロジェクトでよくあるデータ処理や画像処理の例を見てみよう。
パフォーマンスの違いも数字で確認できるよ。
CSVファイルの処理など、実際の業務でよくある例を見てみましょう。
複数のファイルを処理する場合の例です。
正確なパフォーマンス測定を行うためのポイントをご紹介します。
リンドくん
multiprocessingを使う時に気をつけることはありますか?何かハマりやすいポイントがあったら教えてください。
たなべ
実は、いくつか注意すべきポイントがあるんだ。
特にメモリ使用量やオーバーヘッドについて理解しておくことが大切だよ。
multiprocessingを使用する際、必ず以下のように書く必要があります。
これを書かないと、Windowsでプログラムが無限ループに陥る可能性があります。これは、新しいプロセスが作成される際に、スクリプト全体が再実行されるためです。
multiprocessingでは、各プロセスが独立したメモリ空間を持ちます。そのため、大きなデータを扱う場合はメモリ使用量が増加します。
並列処理には、プロセス作成や通信のオーバーヘッドが発生します。軽い処理では、並列化によってむしろ遅くなる場合があります。
並列処理でのエラーハンドリングも重要なポイントです。
リンドくん
multiprocessingってすごく便利ですね!これで重い処理も怖くありません。
たなべ
そうだね!ただし、適材適所で使うことが大切だよ。
まずは今日学んだ基本から始めて、徐々に複雑な処理にチャレンジしてみよう。
この記事では、Python multiprocessingの基本から実践的な活用例まで、初心者の方でも理解できるよう段階的に解説してきました。
multiprocessingの主なメリットをまとめましょう。
Pool.map()
を使えば、わずか数行のコードで並列処理を実現できますmultiprocessingは、現代のマルチコアCPUの性能を最大限に活かすための強力な技術です。
データサイエンス、機械学習、画像処理など、様々な分野で活用されています。
今回学んだ基本的な使い方から始めて、プロジェクトの要件に応じてより高度な機能(Process
クラスやQueue
など)も学んでいけば、さらに効率的なプログラムを作成できるようになるでしょう。