リンドくん
たなべ先生、最近AIの勉強をしていると「RAG」とか「Fine-tuning」って言葉をよく見るんですけど、これって何が違うんですか?
たなべ
どちらもAIモデルをより賢くする手法なんだけど、アプローチが全然違うんだ。
RAGは「外部の知識を参照する」方法で、Fine-tuningは「モデル自体を学習させる」方法なんだよ。
リンドくん
うーん、まだよくわからないです...
たなべ
大丈夫!今日は図解も交えながら、初心者でもわかるように丁寧に説明していくからね。
この2つの違いを理解すれば、自分のプロジェクトでどちらを使うべきか判断できるようになるよ!
AI技術の進化とともに、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)を活用したアプリケーション開発が注目を集めています。
しかし、そのままのモデルでは自社のデータや最新情報に対応できないことも多く、そこで登場するのがRAG(検索拡張生成)とFine-tuning(ファインチューニング)という2つの重要な技術です。
この記事では、プログラミング学習者やAI開発に興味がある方に向けて、RAGとFine-tuningの違いを徹底的に整理し、どのような場面でどちらを選ぶべきかを明確にしていきます。
それでは、まずRAGの基本から見ていきましょう。
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リンドくん
まず「RAG」って何の略なんですか?
たなべ
RAGはRetrieval-Augmented Generationの略で、日本語では「検索拡張生成」と訳されるんだ。
簡単に言うと、AIが答える前に関連情報を検索して、それを参考にして回答を生成する仕組みなんだよ。
RAGは、LLMに質問する際に以下のような流れで動作します。
この仕組みの最大の特徴は、LLMのモデル自体は変更せず、外部の知識を参照するという点です。まるで図書館で本を調べながら答案を書くようなイメージですね。
RAGには以下のような優れた点があります。
一方で、RAGにも限界があります。
これらの特徴を理解した上で、次はFine-tuningについて見ていきましょう。
リンドくん
じゃあFine-tuningはどんな仕組みなんですか?
たなべ
Fine-tuningは、既存のAIモデルに追加で学習させて、特定のタスクに特化させる技術なんだ。
スポーツ選手が基礎体力をつけた後に専門トレーニングをするようなイメージだね。
Fine-tuningは以下のプロセスで行われます。
重要なのは、モデルの内部パラメータ自体を変更するという点です。これにより、モデルの振る舞いそのものが変化します。
Fine-tuningには以下のような強みがあります。
しかし、Fine-tuningにも課題があります。
これらの違いを踏まえて、次はRAGとFine-tuningを具体的に比較していきます。
リンドくん
結局どっちを使えばいいんでしょうか?
たなべ
それはプロジェクトの目的や状況によるんだ。
比較表を見ながら、それぞれの特徴を整理してみよう。
| 項目 | RAG | Fine-tuning |
|---|---|---|
| 知識の保存方法 | 外部データベース | モデルのパラメータ内 |
| 導入コスト | 低〜中 | 高 |
| 運用コスト | 中(検索処理) | 低(推論のみ) |
| 情報更新 | 容易(DB更新のみ) | 困難(再学習必要) |
| 回答速度 | 遅い(検索含む) | 速い |
| 専門知識の要求 | 低 | 高 |
| 情報源の透明性 | 高(引用可能) | 低 |
| カスタマイズ性 | 限定的 | 高い |
それぞれに適したシナリオを具体的に見てみましょう。
RAGが適している場面
Fine-tuningが適している場面
実は、これら2つは必ずしも対立する選択肢ではありません。次のセクションでは、両方を組み合わせる方法についても触れていきます。
リンドくん
先生、RAGとFine-tuningって両方使うこともできるんですか?
たなべ
素晴らしい質問だね!実は両方を組み合わせることで、それぞれの長所を活かせるんだ。
これが最近の最先端のアプローチなんだよ。
RAGとFine-tuningを組み合わせることで、以下のような強力なシステムを構築できます。
このハイブリッドアプローチは、以下のようなシチュエーションで活用できます。
このように、2つの技術を組み合わせることで、より高度なAIシステムを構築できます。
リンドくん
自分のプロジェクトではどちらを選べばいいか、まだ迷ってます...
たなべ
大丈夫!明確な判断基準を持っていれば、自信を持って選択できるよ。
いくつかの重要な質問に答えていくことで、最適な選択が見えてくるんだ。
以下の質問に答えることで、自分のプロジェクトに最適な選択が見えてきます。
情報更新の頻度について
予算とリソースについて
出力の形式について
情報源の透明性について
データの準備状況について
実際のプロジェクトでは、以下のような段階的なアプローチがおすすめです。
フェーズ① RAGでプロトタイプ(1-2週間)この段階的アプローチにより、リスクを最小限に抑えながら最適なシステムを構築できます。
以下に、いくつかの典型的なシナリオと推奨される選択を示します。
シナリオ① 社内文書検索システム
シナリオ② カスタマーサポートボット
シナリオ③ コード生成アシスタント
シナリオ④ ニュース要約サービス
このように、プロジェクトの特性に応じて最適な選択は変わってきます。
リンドくん
だいぶ理解できました!でも実際に使ってみないと不安です...
たなべ
その気持ちはよくわかるよ。でもまずは小さく始めてみることが大切なんだ。
簡単なRAGシステムから試してみて、徐々に複雑なものに挑戦していけばいいんだよ。
この記事では、RAG(検索拡張生成)とFine-tuning(ファインチューニング)について、その違いから選び方まで徹底的に解説してきました。
重要なポイントを振り返ってみましょう。
RAGの特徴
Fine-tuningの特徴
ハイブリッドアプローチ
AI技術は、これからのソフトウェア開発において不可欠な要素となっていきます。
RAGとFine-tuningという2つの重要な技術を理解し、適切に使い分けられるようになることで、あなたのエンジニアとしての価値は大きく高まるはずです。
ぜひ今日から、小さなプロジェクトでこれらの技術を試してみてください。実際に手を動かして学ぶことが、最も効果的な学習方法です。応援しています!