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JavaのWebアプリケーションフレームワークの特徴まとめ。それぞれのメリットと選定方法

JavaのWebアプリケーションフレームワークの特徴まとめ。それぞれのメリットと選定方法

前回、Javaの学習方法の始め方について紹介していきましたが、今回はJavaのWebアプリケーションフレームワークについて紹介していきます。
Webアプリケーションを開発する上で、Javaでゼロから組み立てることは稀です。多くのプロジェクトで、最初にベースとなるWebアプリケーションフレームワークを選定し、開発を進めていきます。
それぞれのメリットと特徴を理解し、自分たちのチーム、ないしは自身がどのような方針で選定するか理解することは非常に重要です。さらっと多くのフレームワークを紹介していくので、Java初心者の方はぜひ参考にしてください。

JavaのWebアプリケーションフレームワーク8選

時間がない人用に、最初にこのコンテンツで紹介するWebアプリケーションフレームワークの特徴をまとめて列挙します。
  • Spring Boot
    Spring Frameworkをベースにしたフレームワークで、簡単なアノテーションと設定で素早くアプリケーションを開発できます。組み込みのTomcat, JettyまたはUndertowを利用して、スタンドアロンアプリケーションを作成します。最近人気の高いWebアプリケーションフレームワークです。
  • Spring Framework
    強力な依存性注入コンテナを持ち、アプリケーションの設計とテストを簡素化します。Spring Bootと異なり、より細かい設定と制御が可能です。
  • Struts
    古くからあるMVCフレームワークの1つで、アクションベースのMVCアーキテクチャを提供します。プラグインアーキテクチャにより拡張性が高いですが、設定が複雑になることがあります。
  • Play Framework
    高速でスケーラブルなWebアプリケーションを作成するための軽量フレームワークです。JavaとScalaの両方で使用でき、非同期処理に優れています。
  • JavaServer Faces(JSF)
    サーバーサイドのUIコンポーネントフレームワークで、複雑なユーザーインターフェイスの構築を支援します。コンポーネントベースのアプローチを採用しています。
  • Hibernate
    JavaのORMフレームワークとして最もよく使われており、オブジェクト指向のデータモデルとリレーショナルデータベースをマッピングします。
  • Vaadin
    サーバーサイドのJavaフレームワークで、リッチなWebアプリケーションを簡単に構築できます。JavaでUIを完全に制御し、ブラウザ側は自動的に生成されます。
  • Grails
    Groovyベースのフレームワークで、Railsにインスパイアされた生産性を重視した設計です。プラグインエコシステムにより機能を簡単に拡張できます。

Webフレームワークの詳細

先述した概要だけでは物足りないという人用に、以下にそれぞれのWebアプリケーションフレームワークを利用するメリット、選定すべきプロジェクトのポイントについて紹介していきます。
なお、ここでは特に人気の高いSpring Boot、Spring Framework、Strutsに限った紹介とします。(すべて書くと長くなりすぎるため)
すでに運用されているWebアプリで使われているフレームワークの場合、開発方針の理解にもつながるのでぜひご一読ください。

Spring Boot

少し前まではSpring Frameworkの人気がダントツでしたが、最近少しずつSpring Bootを採用している案件を見ることが増えました。Spring Frameworkをベースとしていることもあり、Spring Framework + Spring MVCからSpring Bootへ移行するケースも見受けられます。
その強力な機能と柔軟性により、さまざまなタイプのJavaプロジェクトに適しています。ただし、柔軟がゆえにチームで開発方針をしっかりと検討しておく必要があることは、念頭に入れておく必要があります。

Spring Bootのメリット

  1. 開発速度向上
    Spring Bootは独自の"Opinionated Defaults"コンセプトに基づいており、多くの設定を自動化しています。これにより、開発を開始できます。
  2. 組み込みサーバー
    Tomcat、Jetty、Undertowなどの組み込みサーバーをサポートしており、開発者は簡単にスタンドアロンアプリケーションを実行できます。
  3. ライブラリとプラグイン
    Springのエコシステムを利用しているため、セキュリティ、データアクセス、メッセージングなどの多くの機能を簡単に統合できます。
  4. マイクロサービスフレンドリー
    マイクロサービスアーキテクチャの構築に適しており、クラウドネイティブアプリケーション開発で優位性を持っています。

Spring Bootの特徴

  1. 自動設定
    @EnableAutoConfigurationアノテーションを使用すると、クラスパス上のライブラリに基づいてアプリケーションの設定を自動的に調整します。
  2. 依存関係
    starterは特定の機能に必要な依存関係のコレクションです。これにより、必要なライブラリを手動で組み合わせる手間が省けます。
  3. アクチュエーター
    アプリケーションのヘルスチェックやメトリクス収集など、運用時の便利な機能を提供します。

学習難易度

  • 基本的な機能の学習
    比較的簡単です。多くの自動化とデフォルト設定により、初心者もすぐに開発を開始できます。
  • 高度な機能の学習
    全機能を最大限に活用するには、依存性注入(DI)、AOP(アスペクト指向プログラミング)、セキュリティなど、Spring Frameworkのより深い理解が必要になります。

選定すべきプロジェクトのポイント

  • スタンドアロンアプリケーション
    独立して実行されるスプリングアプリケーションを迅速に作成したい場合。
  • マイクロサービスアーキテクチャ
    小規模で独立したサービスを開発し、それらを統合して大規模なアプリケーションを構築する場合。
  • エンタープライズアプリケーション
    複雑なビジネスロジックや多くの依存関係を持つアプリケーションを開発する場合。
  • プロトタイピング
    新しいアイデアや技術を試すためのプロトタイプを迅速に開発したい場合。

Spring Framework

Spring Frameworkは、エンタープライズレベルの開発プロジェクトにおいて強力な基盤を提供する人気のフレームワークです。先に説明したSpring BootはSpring Frameworkを基に構築されているため、多くの特徴を共有していますが、Spring Framework自体には独自の利点と特性があります。
その包括的な機能と強力なカスタマイズ能力により、複雑なエンタープライズレベルのアプリケーションの開発に適しています。しかし、その複雑さと学習曲線は、特に小規模なプロジェクトやシンプルなアプリケーションでは過剰である可能性があります。

Spring Frameworkのメリット

  1. 依存性注入(DI)
    依存性注入の概念を中心に設計されており、アプリケーションコンポーネント間の結合を緩くし、コードのテストや再利用のしやすさに重点が置かれています。
  2. アスペクト指向プログラミング(AOP)
    AOPをサポートすることで、横断的関心(ログやセキュリティなど)をモジュール化し、ビジネスロジックから分離します。
  3. 豊富な機能
    セキュリティ、トランザクション管理、JDBC操作、REST API開発など、エンタープライズレベルのアプリケーション開発に必要な多くの機能が備わっています。

Spring Frameworkの特徴

  1. モジュール性
    多くのモジュールで構成されており、開発者は必要な機能だけを選択して使用できます。
  2. 統合性
    多くのサードパーティライブラリやフレームワークとの統合をサポートし、既存の技術スタックに簡単に組み込めます。
  3. 柔軟性
    アプリケーションの設定やアーキテクチャを細かく制御できるため、特定の要件に合わせてカスタマイズできます。

学習難易度

  • 中級から上級
    柔軟性が高いため、全体像を理解し、効果的に使用するにはある程度の学習と経験が必要です。特に依存性注入、AOP、トランザクション管理などの概念を理解することが重要です。
  • ドキュメントとコミュニティ
    豊富なドキュメント、さらに活発な開発コミュニティがあるため、学習リソースは豊富ですが、機能の広さと深さはかなりの規模なので諦めないことが大切です。

選定すべきプロジェクトのポイント

  • 柔軟性が必要なプロジェクト
    細かな設定や特定のアーキテクチャ要件に合わせてアプリケーションをカスタマイズしたい場合。
  • エンタープライズレベルのアプリケーション
    大規模で複雑なビジネスロジックや多くのシステム統合を含むアプリケーション。
  • 幅広い機能を必要とする場合
    セキュリティ、トランザクション管理、データアクセスなど、包括的なサービスが必要な場合。
  • 既存のSpringエコシステム
    既にSpringエコシステムを使用しており、そのフルセットの機能と柔軟性を活用したい場合。

Struts

Strutsは、JavaのMVCフレームワークです。Strutsが2000年代初頭にリリースされた後、改善されたStruts 2が登場しました。
かつてJavaのWebアプリケーション開発において多大な人気を博しましたが、現在ではSpring Bootやその他の現代的なフレームワークにその地位を譲っています。
しかし、特定の開発シナリオや既存のプロジェクトでは依然としてその価値を保っています。新たに学んで選定するメリットはさほどないものの、保守運用し続けるシステムに採用されていることも多いです。

Strutsのメリット

  1. 堅固なMVCアーキテクチャ
    アクションベースのフレームワークで、コントローラー/ビュー/モデルを明確に分離し、整理されたアプリケーション構造を持っています。
  2. 広範なプラグイン
    多くのプラグインをサポートしており、機能を簡単に拡張できます。
  3. 豊富なタグライブラリ
    JSPで使用できる豊富なカスタムタグライブラリを提供し、ビューの開発を簡素化します。

Strutsの特徴

  1. アクションクラス
    各リクエストはアクションクラスにマッピングされ、コントローラーの役割を果たします。これにより、リクエストの処理とビジネスロジックの実行が簡潔になります。
  2. 構成ファイル
    XML構成ファイルを使用してアプリケーションのルーティングと振る舞いを定義します。これにより、コードと設定の分離が可能になります。
  3. バリデーションフレームワーク
    簡単に利用できるバリデーションフレームワークを提供し、フォーム入力の検証を容易に行えます。

学習難易度

  • 中級
    明確なMVC構造と充実したドキュメントにより比較的学びやすいですが、設定ファイルの管理やフレームワークの理解には一定の学習が必要です。
  • 旧式のフレームワーク
    現代のフレームワークに比べて古い技術であり、新しいプロジェクトでの採用は減少しています。既存のプロジェクトや特定の環境での維持・運用を学ぶ場合には有用です。

選定すべきプロジェクトのポイント

  • 既存のStrutsアプリケーション
    既にStrutsを使用しているプロジェクトや、Strutsベースのアプリケーションをメンテナンスする必要がある場合。
  • アクションベースのMVCアプローチ
    アクションベースのMVCフレームワークに慣れており、そのアーキテクチャに準拠したい場合。
  • シンプルなプロジェクト
    比較的シンプルで大規模でないWebアプリケーションを開発する場合。

Javaを勉強するならSpringも友だちになろう

結論として、今からJava系Webアプリケーションフレームワークの勉強をするなら、Spring BootかSpring Frameworkの二択だと考えて良いです。MVCアーキテクチャを学ぶこともできる上、依存性注入やアスペクト指向プログラミングを学ぶこともできるので、プログラミング全般におけるスキルアップにもつながります。
もちろん、Java自体の人気は年々落ちつている背景もありますが、まだ日本の多くの企業でJavaアプリケーションは現役なので、学ぶ対象にして損はありません。
「Javaのフレームワークは何を勉強すればいいんだろう」と悩んでいる方はぜひ参考にして学習してみてください。